睡眠障害には睡眠時無呼吸症候群だけではなく、様々なものがあります。その他の睡眠障害の種類とその特徴をご説明します。
不眠症
睡眠の機会が充分にあるにもかかわらず睡眠を取ることが出来ず、⽇常⽣活に⽀障をきたしてしまう状態を不眠症と言います。不眠症はまずその原因を確かめることが重要であり、⽣活環境を整えることで不眠症が改善することもあります。睡眠薬以外に適当な対処法がない場合は、根本的な原因が解決するまで睡眠薬の使⽤をお勧めすることもあります。昔と違って最近の睡眠薬は依存性などの問題はほとんどありません。
ナルコレプシー
睡眠と覚醒のリズムの異常により、⽇中に突然眠ってしまう病気です。⽇中の眠気以外に、笑ったりした瞬間に⼒が抜けて腰砕けになってしまう(情動脱⼒発作、カタプレキシー)、寝⼊りばなに夢と現実との区別がつかないような⽣々しい夢を⾒る(⼊眠時幻覚)、夜中に⾦縛りにあう(睡眠⿇痺)などの症状を伴うことが多いです。診断を確定させるために1泊⼊院の検査(ポリソムノグラフィー(PSG)検査、反復睡眠潜時検査(MSLT))が必要となりますが、飲み薬を使って治療することが出来ます。
特発性過眠症
⽇中の強い眠気を認め、⽇中の正常な精神活動を⾏うために毎⽇10時間以上の睡眠時間を要す状態を特発性過眠症と言います。ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群など、他の睡眠障害との⾒極めが⼤切な病気です。ナルコレプシーと同じく、ポリソムノグラフィー(PSG)検査、反復睡眠潜時検査(MSLT)で診断が確定します。精神刺激薬を⽤いて昼間の覚醒度をあげる治療を⾏います。
睡眠時遊⾏症(睡眠時驚愕症、夜驚症)
睡眠中に寝ぼけて歩き回ってしまう病気です。⼩学⽣までの⼦供に起こりやすく、成⻑とともに起こりにくくなります。寝ぼけている間の出来事を覚えていない、寝ぼけているときに怪我をせず物をちゃんとよける、などの特徴があります。就寝時の脳の部分的な活性化が原因と考えられており、特別な治療は必要としませんが、あまり程度がひどい場合は、少し⻑めに寝ることで浅い眠りを増やしてあげたり、飲み薬で治療を行ったりする場合もあります。寝ぼけていても無理に起こそうとせず、うまく寝床へ誘導してあげるのが良いでしょう。
レム睡眠⾏動異常症(REM睡眠⾏動異常症)
睡眠は⼤きくレム睡眠期とノンレム睡眠期に分けられますが、特に夢を⾒る時間であるレム睡眠期に、夢の内容に合わせて起き上がり、体を激しく動かしてしまう病気です。睡眠時遊⾏症との違いとして、中年以降に起こりやすい、睡眠中に怪我をすることがある、異常⾏動中に起こすとしっかり目を覚ますことが出来る、夢の内容を覚えている、などの特徴があります。症状が強い場合は飲み薬での治療を⾏います。
概⽇リズム睡眠障害
⼈の正常な睡眠サイクルは、朝起きて夜眠るというある程度定められたリズムを刻みますが、この病気はそのリズムが徐々に後ろにずれてしまったり(睡眠相後退症)、逆に前にずれ込んだり(睡眠相前進症)、あるいは太陽の周期と全くばらばらなリズムを刻んでしまう(不規則睡眠覚醒パターン)というものです。時差ボケもこの病気の中に⼊ります。⾼照度の光を浴びて睡眠周期を戻す治療(⾼照度光療法)や、起床時間、就寝時間を目標とする時間に少しずつずらしていく治療、内服薬による治療などがあります。
むずむず脚症候群
脚がむずむずと不快な感覚に襲われ、じっとしていられなくなる病気です。典型的な例では、①脚を動かしたい衝動に駆られる、②脚を動かすと楽になる、③じっとしていると症状が悪化する、④夜に症状が悪化する、という4つの症状が⾒られます。睡眠中に無意識の内に脚を動かすことにより⽬が覚めてしまい、睡眠障害の原因となるものは周期性四肢運動障害と呼ばれます。この病気は様々な原因で発症することがあり、まずは原因の⾒極めが重要になります。その後薬による治療で多くの⼈が症状の軽快を得られます。