診療内容contents
めまいの病気
- 良性発作性頭位めまい症(頭位性めまい)
両耳の奥には三半規管と言う体のバランスをとる器管があり、その中にある耳石という石が傾くことにより体の位置感覚を感じることが出来ます。この病気はその耳石が何らかの理由でずれてしまい、頭をある方向に動かすとずっとその方向に動き続けているような感覚を起こしてしまうというものです。頭位性めまいは時間の経過とともにほとんど良くなりますが、治るまで薬を使って症状を抑えたり、治りが悪い場合は、石を元の位置に戻すリハビリを行うことで改善が早まります。
- メニエール病(Meniere病)
疲労やストレスが引き金となり、めまい、ふらつき、耳鳴り、難聴などの症状を反復する病気で、比較的若年から中年の女性に多い疾患です。症状の経過と聴力検査である程度の診断が可能であり、突発性難聴と同様に発症早期の治療が大切です。飲み薬で症状のコントロールが可能な場合が多いですが、そもそもの原因がストレスにあることもあり、治療は耳鼻科的な治療と同時に心理面のカウンセリングをさせて頂くこともあります。
- 前庭神経炎
耳の奥にあり体のバランスをとっている三半規管と脳をつなぐ神経を前庭神経と言いますが、その前庭神経が何らかの原因で炎症を起こすことにより、片側の三半規管の働きが落ち、左右のバランスを崩してめまいを起こしてしまう病気です。頭位性めまいと異なり頭をじっとさせていてもめまいが収まらず、またメニエール病と違って耳鳴りなどの症状を伴わないのが特徴です。治療にはまずは安静が大切であり、めまい止め、神経改善薬、循環改善薬などを使用して治療を行います。
- 頸性めまい
頸椎(首の骨)の中を走行し、内耳へ血液を供給する椎骨動脈が、首をひねることにより狭くなり、内耳への血液が不足して起こる病気です。血管が細くなってしまった原因を調べる必要がありますが、もともと細い場合などは首をひねらないようにするなど、生活スタイルに気をつけることが治療になります。
- 椎骨脳底動脈循環不全
体のバランス感覚を支配する小脳や、耳を支配する椎骨脳底動脈の血液の巡りが悪いことによってめまいを起こしてしまう病気です。めまい症状以外の神経症状(ろれつが回りにくい、唇がしびれる、ものが二重にみえる)が起こる場合はこの病気を疑う必要があります。持病に高血圧、高脂血症、糖尿病があったり、喫煙量が多い人に起こりやすい特徴があります。
- 起立性低血圧症
立ち上がった時に脳へいく血液が足りなくなり、立ちくらみを起こしてしまう病気です。原因としては、神経に関係する病気が考えられる他、高血圧に対する薬を飲み過ぎている場合や、前立腺肥大の薬、精神安定剤などで発症する場合があり、その場合内服薬の調節で症状が改善することが多いです。低血圧が原因でこの病気になってしまう場合は、低血圧に対する治療が必要になります。思春期にこの病気のなってしまった場合は成長とともに改善する場合が多いです。血圧を計る検査で病気の予測を行うことが出来ます。
- 脳脊髄液減少症
脳や脊髄の周囲を満たしている脳脊髄液が減ることにより、起き上がる姿勢を取った時、立ち上がった時などにめまい、ふらつき、頭痛を起こしてしまう病気です。頭や体をぶつけたり、出産などを契機に発症する場合があります。眼がぼやける、手足がしびれるなどの神経症状が出ることもあります。重心動揺計検査で異常値を示すことでこの病気が疑われます。安静により完全に治ることもありますが、脊髄への注射治療など、特別な治療法を必要とすることもあります。