女性の睡眠時無呼吸症候群
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」
この病名を耳にすると“太った男性の病気”とイメージする方が多いかと思いますが、女性にも発症します。
女性は、閉経後の50歳以降にSASの発症頻度が上昇します。男性と比較すると、後発年齢が10年ほど遅れています。合併症である心筋梗塞や脳梗塞のリスクも増加します。これは女性ホルモンの減少が原因です。
①エストロゲンの減少
エストロゲン(卵胞ホルモン)は血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。閉経を境に減少すると、血液中のコレステロール値が上昇し動脈硬化の危険性が増します。また、エストロゲンの減少により内臓脂肪型肥満(上半身肥満、リンゴ型)が増加します。内臓脂肪の増加は、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症など)を招きやすくなります。
②プロゲステロンの減少
プロゲステロン(黄体ホルモン)は脳の呼吸中枢を刺激して呼吸を促す作用があります。そのため、本来女性はいびきをかきにくいのですが、閉経前後は大幅に減少するため、男性と同じ割合でいびきをかきやすくなります。
③妊娠とSAS
妊娠期の体重増加に伴い、脂肪が上気道を狭くするためSASが生じることがあります。SASの発症は母体より胎児に悪影響を及ぼしやすくなります。無呼吸になると低酸素濃度血症を起こします。睡眠中の母体の酸素濃度低下によって、流産、切迫早産、発達障碍児出産、妊娠高血圧、妊娠糖尿病のリスクが上昇します。妊娠早期にSASの診断や治療を開始することが望ましいと言われています。
「いびきで病院に行くのは恥ずかしい…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、放置しておくと様々な合併症を引き起こす可能性もあります。まずは検査することから始めてみましょう。
いびきは、本人が気づかない場合も多いので、旦那様から優しく伝えてみてください。