外耳道真菌症
【症状と病因】
外耳道真菌症とは、外耳道に炎症が起き、そこに真菌(カビ)が繁殖する病気です。主な症状としては、耳の掻痒感、耳痛、耳漏、耳閉塞感、難聴などがあげられます。外耳道炎に続いて起こることが多い病気で、高温多湿の日本で多い疾患となります。外耳道内も高温多湿な環境にあり、真菌の繁殖には条件がよい部位になります。さらに、中耳炎や外耳炎によって浸出液が存在すると多湿が助長され、真菌が繁殖していきます。また、長期の外耳道への局所抗菌薬の使用は、菌交代現象(※1)をひきおこします。点耳や軟膏などのステロイド薬は、局所の免疫力の低下をきたす可能性があり、糖尿病などの感染に対し免疫力が低下している状態などでは、真菌の繁殖にとって好条件となります。
※1:菌交代現象
菌交代現象とは、生体において正常菌叢(きんそう)の減少などにより通常では存在しない、あるいは少数しか存在しない菌が異常に繁殖を起こし、正常菌叢が乱れる現象。
【検査と診断】
顕微鏡で真菌の胞子や菌糸が見られれば、それで外耳道真菌症と診断可能になります。もし顕微鏡で真菌の胞子や菌糸が見られない場合には、外耳道内貯留物を採取して、検鏡下に菌体を確認するか、真菌培養による検出が確定診断となります。
※当院では真菌培養を提出する。
【治療】
①耳掃除の禁止
外耳道への刺激を減らし悪化を防ぐために、耳掃除が習慣となっていれば、それを控えるように指導する。
②局所の清掃
外耳道内に貯留した膿性の分泌物や、貯留した膜様物をていねいに除去することが重要であるために、局所の清掃を充分におこなう。※必要に応じて生理食塩水で洗浄する
③抗真菌薬軟膏
清掃後に、真菌の排除を目的に抗真菌薬軟膏を塗布する。当院では、炎症や真菌(カビ)を抑えるリンデロン・ルリコン・アクアチムの抗菌剤3種を混ぜた軟膏を塗布している。
④場合により点耳薬やステロイド軟膏の処方
当院では上記の4点に加えて、出来るだけ早期に治癒に導くためには少し間隔を狭めた通院治療(週に2~3回の通院を1~2週間)が依頼することがあります。