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「アレルギー性鼻炎の治療戦略」④手術療法

 

「アレルギー性鼻炎の治療戦略」というタイトルでZoom講演をさせて頂きました。

 

その内容を5回に渡りご説明させて頂きます。

 

今回は最終回の「手術療法」についてご説明したいと思います。

 

④手術療法について

 

一般に鼻の手術の良い適応は、

 

・薬の継続が困難
・薬の効果に限界がある
・概ね18歳以上
・強い鼻中隔弯曲症がある

 

などです。

 

また鼻の手術は鼻の症状(鼻詰まり、鼻水)に限った治療法ですので、アレルギー性鼻炎に合併する目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)、皮膚のかゆみに対する効果はありません。

 

またアレルギー体質を改善できるものではありませんので、100%の効果を保証するものではなく、将来的にアレルギーが悪化すると、症状が再発してくる可能性もあります。

 

アレルギー性鼻炎の手術療法は、

 

・レーザー下鼻甲介粘膜焼灼術
・鼻中隔矯正術
・下鼻甲介粘膜切除術
・後鼻神経切断術

 

の大きく4つがあります。

 

それぞれの手術についてご説明いたします。

 

・レーザー下鼻甲介粘膜切除術

 

こちらは鼻内の下鼻甲介という組織の粘膜をレーザーを使って焼き縮め、鼻の通りをよくする手術です。

 

日帰りで比較的気軽にできる手術ですが、効果の持続が1、2シーズンというデメリットもあります。

 

また鼻中隔弯曲症(鼻の中央の仕切り板が曲がっている状態)があると効果が出にくくなります。

 

手術費用(3割負担)は約9.000円です。

 

・鼻中隔矯正術

 

鼻中隔弯曲症といって、左右の鼻を分ける中央の仕切り板である鼻中隔が強く曲がっている方がいらっしゃいます。

 

鼻中隔の曲がりが強いと鼻詰まりが起きやすくなり、また鼻内の空気の流れが悪くなることにより鼻汁の流れも悪くなり、鼻汁の増加の原因にもなります。

 

鼻中隔矯正術は、この曲がった鼻中隔を真っ直ぐに治すことにより、鼻詰まりを改善し、その結果鼻汁量も減らすことのできる手術です。

 

鼻中隔弯曲が強いほど効果的な手術であり、約90%の方が薬の使用を中止することができます。

 

当院でもアレルギー性鼻炎があり、鼻中隔弯曲症のある患者様には、提携病院への手術紹介を行わせて頂いております。

 

手術費用(3割負担)は約25.000円です。

 

・下鼻甲介粘膜切除術

 

こちらは通常、前出の鼻中隔矯正術とセットで行う手術で、下鼻甲介の粘膜を切除することにより、鼻詰まりの改善効果を得ることができます。

 

レーザー下鼻甲介粘膜切除術と比較して下鼻甲介のボリュームを大幅に減らすことができ、より長期的な鼻詰まりの改善効果を得ることができます。

 

手術費用(3割負担)は約15.000~20.000円です。

 

・後鼻神経切断術

 

後鼻神経といって、主に下鼻甲介に分布し、下鼻甲介からの鼻汁分泌を支配する神経があります。

 

アレルギー性鼻炎による鼻水の症状がひどい患者さんに適応となる手術です。こちらも通常鼻中隔矯正術に追加して行われる手術です。

 

数%の確率で「乾燥性鼻炎」といって、鼻内が乾燥しすぎてしまう副作用が出てしまう患者様がいますので、手術適応は慎重に判断する必要があります。

 

手術費用(3割負担)は約91.000円です。

 

 

ちなみに、当院院長の勤務医時代の手術経験数(鼻手術のみ)は以下になります。

 

内視鏡下鼻副鼻腔手術(鼻ポリープ切除術含む) 224件
下鼻甲介粘膜切除術(レーザー焼灼術含む) 232件
鼻中隔矯正術 175件
後鼻神経切断術 16件

 

手術件数は多いわけではありませんが、手術適応の判断に困らないレベルの経験は積んできております。

 

 

これは手術全般にいえることですが、手術を行う術者の技量差というものは、これまでの医師としての経験よりとても感じています。

 

いわゆる「手術の上手い」先生に手術を受けた患者様の術後は症状の改善率が高く、また症状の再発率も低くなります。

 

一方、あまり「手術の上手くない」先生に手術を受けた患者様に関しては、手術後にそれと逆のことが起こる確率が上がります。

 

当院では手術適応のある患者様は手術ができる病院へご紹介することになりますが、手術後に当院で手術部位の経過観察を依頼されることも多くありますし、また元々当院にお掛かりの患者様なら、手術後にその他の理由で当院に通院される機会も当然多くあります。

 

そのような患者様の手術後の症状改善が悪いと居た堪れない気持ちになりますし、病院を紹介した立場から強い責任を感じてしまいます。

 

手術適応で手術を行い、術後の症状改善が思わしくなかった場合、手術後に残った症状に対して投薬治療などの他の治療を行っても、症状のコントロールが限定的になってしまう場合が多くあります。

 

開業医としてそのような患者様の治療に苦慮するのも事実であり、そのような事態は私としても避けたいと思っています。

 

そのような事情から、当院から紹介する手術先病院は、私自身や私の家族が手術を受けなければならない場合に紹介するような、私から見て最も信頼できる先生をご紹介することになります。

 

 

一部の患者様にとっては、数ある治療法の中で、手術の選択肢が最良と判断される場合もあります。

 

そのような患者様を診察した場合は、患者様から申し出がなくても、治療の一つの選択肢として手術のご説明をさせて頂いております。

 

特に1年中鼻詰まりにお困りで、診察で強い鼻中隔弯曲症のある患者様には、手術療法の選択肢ついてはほぼ全患者様にご説明させて頂いております。

(それだけ手術効果が劇的であり、患者様の生涯に渡る生活の質改善に強く貢献できると考えるからです。)

 

手術をご検討であったり、信頼できる「名医」をお探しの方は、ご相談だけでも結構ですので、一度当院にお掛り下さいませ。

 

 

以上、5回に渡りアレルギー性鼻炎の治療方法についてご説明させて頂きました。

 

アレルギー性鼻炎の治療の選択肢にはそれぞれメリット、デメリットがあります。治療を行う前にそれぞれの治療法をよく理解し、納得したうえで治療を開始することが大切です。

 

治療法についてご相談ご希望の方は、一度当院の医師にお掛かり下さい。

 

長文にお付き合いくださいましてありがとうございました!(^^)

 

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「アレルギー性鼻炎の治療戦略」講演会を行いました。

「アレルギー性鼻炎の治療戦略」①薬物治療

「アレルギー性鼻炎の治療戦略」②抗原回避

「アレルギー性鼻炎の治療戦略」③舌下免疫療法

 

 

 

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