逆流性食道炎について
皆さんこんにちは!スタッフの猪野です。
「ノドの違和感」を気にされて耳鼻科を受診される患者様がいらっしゃいますが、今日はそのノドの違和感の原因となる「逆流性食道炎」について調べましたのでご説明させていただきます☺
「逆流性食道炎」とは?
様々な要因で強い酸性の胃酸が食道に逆流して引き起こります。
胃酸は喉に達することもあり、喉の違和感の原因になります。喉や食道は胃酸を防御する機能が弱いため、胃酸に繰り返しさらされることで炎症を起こし、げっぷや胸やけの原因となります。
また、胃や食道の症状をともなわず、喉の異常感のみが現れることがあります。
喉の違和感・異物感を自覚していても、診察で喉に原因となる病気がなく、逆流性食道炎による胃酸の逆流が喉の症状の原因となっている場合、「咽喉頭酸逆流症」と呼びます。
胃酸が喉にまで逆流してくると、喉の違和感・異物感、声が出にくい、咳といった症状が起こることがあります。ファイバースコープで観察すると、逆流性食道炎の方では、咽頭粘膜の腫れを認めることがあります。
逆流性食道炎と考えられる場合は、胃薬の中でも特に胃酸逆流を抑える働きの強いもの(プロトンポンプ阻害薬)の処方を行います。油ものの摂取をできるだけ控えることや、食後2時間は横にならないといった注意も必要になります。
症状が長引く場合、診断を確定させる場合に消化管内視鏡が必要になることがあります。
その場合は、消化器内科を受診していただきます。
胸やけが長い間続き、食事の時に喉の奥に痛み・しみる感じ・つかえる感じ、体重減少などの症状がある場合は、稀ながら食道がんの可能性もあるため、食道・胃カメラの実施可能な病院へ紹介する必要場合もあります。
原因は?
欧米と比べ、日本では少ない病気と考えられてきましたが、高齢化社会、食生活の欧米化、ストレスの増大などが原因で発症する人が増えています。
高脂肪食、過食などによる胃酸の分泌の増加や肥満がまず原因として挙げられます。
また、アルコール・喫煙も原因といわれています。
加齢による食道と胃の境目にある逆流を防ぐための筋肉の機能の低下などがあります。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)とは?
胃内において胃酸分泌を抑え、胃潰瘍などを治療し逆流性食道炎に伴う痛みや胸やけなどを和らげる薬です。
【一般的な薬】
オメプラール/オメプラゾン/タケプロン/ネキシウム/タケキャブ
ラベプラゾール(当院ではステロイドと一緒に処方することが多いです)
検査
喉の違和感の問診票に答えていただき、喉頭ファイバーで喉頭の観察を行います。
胃カメラを実施しても所見が確認できるのは1/3程度です。
そのため問診(Fスケール)が大切となってきます。
こんな症状があったら「逆流性食道炎」かも?
①胸やけ…みぞおちから胸の下にかけて、焼けつくような、しみるような違和感がある
②胃もたれ…食べたものがいつまでも未消化で残り、もたれたような感じがする
③胸が痛い…胸が締めつけられたような強い痛みを感じることがある
④お腹が張る…便秘でもないのに、お腹がパンパンに張ったような感じがする
⑤耳の違和感…耳の奥あたりに痛みを感じたり、ときには耳鳴りがすることがある
⑥声がかすれる…声がかすれたり、言葉のすべりが悪くなったり、高い声が出にくくなったりする
⑦咳がでる…急に咳こんだり、しつこい咳が続いたり、気管支炎のような症状が出る
⑧喉の違和感…喉に痛みを感じたり、イガイガしたり、食べ物を飲み込みにくく感じたりする
⑨呑酸・げっぷ…すっぱい胃酸が口の中にこみあげてきたり、げっぷが頻繁に起こったりする
⑩不眠…夜間や睡眠中に胸やけが起こることで、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりする
治療
①胃酸を抑える薬の服用
②食生活の改善
過食はしないようにしてください。寝る直前に食べ物を食べると胃酸の分泌が多くなり寝る体勢で胃酸が逆流しやすくなるので、できれば寝る3時間くらい前から食事は控えてください。
【この病気に良い食品】
乳製品/卵/魚/豆腐/消化の良いもの(鶏肉/うどん/お粥/繊維の少ない野菜)
【控えたい食品】
脂肪食/食物繊維を含む食品/玉ねぎ/にんにく/アルコール/コーヒー/紅茶/すっぱいもの/菓子など
③生活の改善
・肥満の場合は体重のコントロールをする
・ベルトなどでお腹を強く締め付けない
・頭からお腹を少し高くして寝る(重力の働きで胃液が食道に逆流している時間が短くなる)
・過労やストレスを避ける(過労やストレスは、食道の胃酸に対する過敏性を高めてしまう)
👇当院の逆流性食道炎の問診票👇
いかがでしたか?
今日は「ノドの違和感」の原因の1つとなる「逆流性食道炎」についてご説明させていただきました。
ご自身が「もしかしたら逆流性食道炎かも?」と思われた方は、耳鼻科かお近くの消化器内科を受診してみてください☺